『おや』と兵十は、びっくりしてごんに目を落としました。
『ごん、お前だったのか。いつも栗をくれたのは』
ごんは、ぐったりと目をつぶったまま、うなずきました。
兵十は、火縄銃をばたりと、とり落としました。青い煙が、まだ筒口から細く出ていました。
ごんぎつね 新美南吉

ボタンのかけ違いで生まれてしまった悲劇の物語。中でも一番悲しい最後のシーンを抜粋しました。授業でもこのシーンをよく取り上げて討論させます。
ゆっくり音読すると、その情景が浮んできそうになりますが、実は悲しい感情というのは心を浄化して優しい気持ちにもしてくれるのです。
火薬お匂いや兵十の表情、ごんの様子などをできるだけ想像しながら、心を洗うような心持ちで読んでみるといいですね。

あらすじ
ごんという名の一匹の狐が主人公。いたずら好きなごんは、兵十が病気の母のために捕まえたウナギと魚をわざと逃がしてしまう。
母はその後、この世を去る。後でその事情を知ったごんは激しく後悔し、お詫びに魚や薬をとって兵十の家の裏口からこっそり届けるお話です。
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