この時期になると、必ず思い出すことがある。もう毎年のように。
高校野球ファンが夏の甲子園を思い出すように。それは、甲子園のような甘くてせつない青春チックなものでない。
人生をかけた大一番というと少し言い過ぎかもしれないが、それをやっている側の人間は命がけである。
それは、「教員採用試験」である。教員を目指す人はみなこの試験の望む。それが、毎年7月の下旬に行われ、この時期の限られた人たちの風物詩である。

今私の席の斜め前の前方に、該当する人物を発見した。髪の毛はもうだいぶ抜けかけ、日焼けなのか少年野球の子どものように黒い。それなりに社会経験をしてそうなのか、慣れた感じでブラインドタッチをする。また、店員に対する態度も良い。通りかかった子どもがおもちゃを落とし、笑顔で拾ってあげるていた。

余計なことかもしれないが、彼の参考書と優しさを眺めていると、ビール一杯振る舞いたくなってくる。
言ってなかったが、ここはとある昼下がりのファミリーレストランだった。
運が悪いというのは、けっきょくのところこういうことなんだろうね。だって、これがいつも行く居酒屋なら簡単に振る舞えるのに。
少年野球の子どものように日に焼けた、おじさん!頑張って下さい。あともう少しです!(終)
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