学校休校の長期化を受け、秋から新学年が始まる『9月入学・始業』の導入が浮上している。新型コロナウイルス対策にととまらず、秋入学が主流の海外と足並みをそろえる意味もある。多くの課題が指摘されており、政府は6月に一定の方向性を示すべく慎重に検討を進めている。
挽回不能な遅れ
学校現場では、最低限子どもの『学び』を保障するために、課題を作って週に1回保護者に配布している学校が多いのではないだろうか。(子どもと同伴のところもある)そんな学習形態が1ヶ月以上も続いている。あるいは、動画を使って学び提供している自治体や学校も最近もでてきている。YouTubeでも配信している学校もあるぐらいだ。
職員室の中での会話の中心は、6月以降のことでもちきり。『ぎゅうぎゅうでやっていかないと終わらない』という話があちらこちらかとなく聞こえてくる。『行事はすべてむりかもね』『1年生も6時間?』・・・・
個人的には、この2ヶ月の遅れを取り戻すのはほぼ無理だと感じる。仮に土曜授業を行い、夏休みを全てなくしても挽回できないと感じる。特に、高校や大学受験を控えた学年は尚更である。
いつしか、学力を比較するときに、『たまたまこの年の子たちは『コロナ』がはやった年だから、学力が低くてもしょうがない』となってはならない。学校は教育の機会を公平に提供しなければばらない。
でも今のようなその場しのぎは限界があると思う。だからといって9月入学がワールドスタンダードになっているから、日本もその潮流に簡単にのっかるのも違うような気がする。そもそも9月入学は歴史的に紐とくと今に始まったことではない。

実は、明治初期は9月入学であった。中期から大正期にかけ、国の会計年度と一致する4月入学が広がっていった。そして中曽根総理の時に、秋入学について『大きな意義がある』と答申された。それが1987年のことである。それからだいぶ時がたち、2007年、政府の教育再生会議が『9月入学を大幅に促進』するよう報告。文部科学省は省令を改正し、大学の入学時期を『学長が定める』とした。しかし、入学は4月のままであった。4年後の2011年、彼の東京大学が秋入学を検討。他の大学に同調する動きが広がらず、13年に断念。そして今年のコロナである。
これからもわかるように、これまでも9月入学の動きがあったが、お家芸というか、まったく改善されずにきてしまった。しかし、今回の動きは、今までと異なる。
だが、9月入学制にするにはいくつかの問題点がある。
- 学校教育法などの関連法令の改正
- 入試や資格試験、採用や就職活動の日程見直し
- 会計年度と学校開始期のずれ
- 移行期に生じる児童・生徒数の一時的増加
- 移行期に生じる追加の学費・生活費
といった難題だらけなのである。
それに対して、経済界は歓迎ムードが出ている。
”国内では、4月に新卒を一括採用している企業がほとんどだが、合わせて留学生などを秋入社で採用している企業も多いと聞く。9月入学・始業について、『海外からの採用と同じ時期になるのはメリット。積極的にやった方がいい』(双日の藤本昌義社長)、『9月入学がグローバルスタンダードで、合わせるのも一つの考え方』(ヤフーを運営するZホールディングスの川辺健太郎社長)などの声が多い。”

年間を通じて臨時採用する『通年採用』が定着しているIT企業からは、『入学・卒業時期による影響はない』(フリーマーケットアプリ大手メルカリ)との声が上がる。(読売新聞より引用)
いずれにせよそう簡単には決まるはずがないし、慎重に議論を重ねてもらいたい。
令和の『革命家』と言われている大阪府の吉村知事は、『今やらずしていつやるのか』と公の会見で何度も力強く述べている姿をテレビで観られた方は多いででしょう。また、専門家の間や各都道府県の17知事も『9月入学』を国に要請している。ある海外の記者は、『日本という国は、何かの外圧がないと変わらない保守的な国だ』と揶揄していた。たしかにそうだ。先に述べた『難問』を一つひとつ慎重にクリアして、ぜひ9月入学を実現してほしいと私的には願っている。

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