健康あっての教師人生

⭐️教壇に立ち続けるために、『今』できること⭐️

坊ちゃん 夏目漱石 508/JUNE.16

正直に白状してしまうが、おれは勇気のある割合に智彗が足りない。こんな時にはどうしていいかさっぱりわからない。わからないけれども、決して負けるつもりはない。このままに済ましてはおれの顔にかかわる。江戸っ子は意気地がないと云われるのは残念だ。(中略)

 ただ智慧のないところが惜しいだけだ。どうしていいか分からないのが困るだけ。困ったって負けるものか。正直だから、どうしていいか分からないんだ。世の中に正直が勝たないで、外に勝つものがあるか、考えて見ろ。今夜中に勝てなければ、あした勝つ。あした勝てなければ、あさって勝つ。あさって勝たなければ、下宿から弁当を取り寄せて勝つまでここに居る。

 おれはこう決心をしたから、廊下の真中へあぐらをかいて夜のあけるのを待って居た。

坊ちゃん『夏目漱石』

あ ら す じ

 物理学校を卒業後、四国の中学に数学教師として赴任した、江戸っ子気質で直情怪行の青年『坊ちゃん』。赴任先の『赤シャツ』『野だいこ』といった教師たちの愚劣さに反発、最終的には職を投げ打って、東京へと戻る。近代小説に勧善懲悪の主題を復活させた、漱石作品の中でも広く愛読されている小説の一つ。

 主人公は四国のゆったりとした空気にどうにも感性が合いません。そのテンポのズレが話の面白さですね。『勇気はあるのに智慧に欠ける』といったフレーズは今も胸に響きます。この自己認識からは、主人公の性格が垣間見えて微笑ましさを覚えます。

 もう何回音読したか数えきれないほど読みました。音読をしていると落語の世界に入り込んだような気分になります。

軽やかに読みながら世界感を楽しむといいですね。

『あした勝たねば〜弁当を取り寄せて勝つまでここに居る』。どれだけこのくだりに励まされたことか。

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